平山明神山

【田口から、止むに止まれずタクシー利用】

豊鉄バスに揺られること40分。田口に到着した私は、苦渋の選択をすることになる。それは…

田口から、平山明神山登山口までの足がないのです。登山口までの足になり得る手段としては、豊鉄バス・田口本郷線があります。田口と本郷を結ぶバス路線ですね。そう、北設楽郡東栄町の中心、本郷ですよ。この田口と本郷を結ぶバス路線、ちゃんとあるにはあるのですが、山登りに来たのに、田口で13時過ぎまで時間を潰すわけにはいきません。

仕方なく、田口乗用(地元のタクシー会社)のお世話になるのです。

田口からタクシーで「1800円」ほど進むと、平山明神山登山口にほど近い、豊鉄バス・田口本郷線の黒倉バス停に到着です。ここでタクシーを降り、登山口を目指します。黒倉バス停から20分ほど歩き、「平山明神山登山口」の石碑がある、大神田集落に入りました。

平山明神山登山口石碑 (設楽町大神田集落内)

実は大神田集落は、分水嶺を越えて天竜川水系に入っています。しかし、仕方がない。豊川水系側から平山明神山を目指すとなると、かなり厳しいナイフリッジがあるので、あまり紹介したくないコースなのです。それにしても、「豊川水系の山」と言っておきながら、いきなり天竜川水系の集落から登るコースになってしまいました。

【平山明神山を仰ぎ見る】

ところで、なぜ「平山明神山」を取り上げたのでしょうか？それは、大神田集落から平山明神山を眺めてみると、取り上げてみたくなる理由がわかろうというものです。

大神田集落から、平山明神山を望む

山に詳しい方も、そうでない方も、「えっ」と声をあげるでしょう。異彩を放つその山容。平山明神山ほど、ジャンダルムという言葉がしっくりくる山を探すのには、なかなか苦労します。

注)ジャンダルム：gendarme(フランス語) 山稜に突き出た塔状の岩峰

少し「アップ」で山容を見てみましょうか。

平山明神山山頂付近 (大神田集落より)

こんな素敵な山容を持つ山に、ロープ無しで登れるのですから、行かない手はないのです。
そうです。以前から、行きたい行きたいと思っていた平山明神山に、私自身、やっと挑戦をはじめました。

登山道に入ると、山頂までほとんど展望はありません。勾配はかなり厳しいのですが、しっかりした登山靴であれば、それほど危険を感じるほどではない。しかしそれも、天気が良く、路面状態が良好なためだからであり、足場が悪い時は、ちょっと厳しいかもしれません。

汗をかきかき、登ること約1時間半。平山明神山頂に到着です。頂上付近は、展望ゼロなのですが、わずかに西へ進み、スパッと切れ落ちたかのような岩峰上に出ると、努力して歩いてきた者だけが得られる、素晴らしいものを目にすることができるのです。

平山明神山頂付近からの大展望