本厚岸
【根室本線開通前は、こちらこそが厚岸エリアの中心だった？ 湾の向こう側の本厚岸地区】
厚岸で3泊4日の時間を過ごした中で、「どうも、こちらこそが以前からの厚岸の中心？」と気づかされたエリア。それが、今から眺めていく「本厚岸」エリアです。
場所を細かく説明すると、厚岸湾を作り出す半島部の突端、そこが本厚岸。距離的には、根室本線厚岸駅とはそれほど距離がない、たかだか3-4km程度のものです。しかし、「たかだか3-4km」などとぬけぬけと言えるのは、厚岸湾口に架橋された厚岸大橋があるからこその話。厚岸大橋が無かった頃は、陸路移動を考えた場合、一つ前のページのコンキリエ前からの眺めでご覧頂いた厚岸湾をグルッとまわる必要があった。いや、実際には当時の人たちは陸路移動などではなく、船移動以外、発想が無かったのでしょう。
実際のところ、「漁場」という観点から厚岸全体を眺めると、私のような「よそ者」からしても、今からこのページで扱う半島の突端の本厚岸エリアのほうが有利な気がしました。だからこそ、本厚岸エリアこそが、ずっとこの地区の中心だったのでは、と感じるのです。
しかし、時代が新しくなり、他地域とのつながり無しに生活が成り立たなくなった時代になると、それは、より、北海道の本島に近い側、要は、現在の厚岸駅周辺のほうが、多くの面で有利になったのでしょう。鉄道での他地域とのつながり、道路交通での他地域とのつながり…
ということは、今から行く「本厚岸」エリアは、一つ前のページで見てきた「厚岸市街地」との名で扱った厚岸駅周辺地域とは別の扱いで、「街と鉄道」で扱ってみたい。そこで、私は、本厚岸方面へと向かいました。厚岸駅前の宿から 厚岸大橋を渡って、本厚岸へ。もちろん徒歩で。
本厚岸地区へ。厚岸大橋上からの一風景
厚岸駅から厚岸大橋までは、海事記念館前の道路を歩いて、15分ちょっとでしょうか。まぁ、私の常識から言えば、歩く距離です。
で、私はそのまま、厚岸大橋を渡り始めました。この日はそれほど風も強くなく、橋の上からの眺めを楽しむことが出来る状況にはありましたが、頭上にずらっと並ぶかもめさんと、歩道上の無数の白いもの(フンです)が気になってしまい、早々に厚岸大橋を渡り終え、本厚岸側に入りました。
厚岸大橋を渡り終え、本厚岸側に入りました
本厚岸側に入った私は、厚岸大橋からそのまま直進。国泰寺通り沿いを進みました。そう、こちら本厚岸側のメインエリアですね。
国泰寺通りを歩いていると、左手にお供山がありました。お天気がもう少し良くて、展望がききそうであれば、山と言ってもちょっとした高台程度の場所ですから、お供山に登ったのですが、この日は結局登りませんでした。そして、翌日以降も、お天気が良い時間帯にここには足を向けることがなく、今思うと残念でした。
国泰寺通りから見上げた お供山
お供山の前を過ぎ、さらに国泰寺通りを進み、一歩路地に入ると、正行寺です。
正行寺
本堂が国指定重要文化財に指定されている正行寺。
明治以降が北海道の歴史、である中で、ここではお寺さんが重文に指定されている。 境内に掲示されていた 寺の由縁 を読むと、本堂は、1700年代末の江戸時代に新潟県糸魚川で造られたお堂を、明治末期に縁あってこの地に移築したのだという。移築した、という史実。そして、移築にあたり、この地の風土、気候にあわせた工夫が行われた点。これが故に、ここ正行寺の本堂が重文指定されているのだという。私も、ゆっくり、じっくり、見学させて頂きました。
国指定重要文化財。正行寺本堂
そして私は国泰寺通りへと戻りました。
再び国泰寺通りへ。通りの西のはずれです
国泰寺通りをさらに進めば、簡単に想像できるでしょう。国泰寺です。そう、厚岸駅構内で山門の紋を見た、国泰寺です。
国泰寺周辺には他に、厚岸神社、厚岸町郷土館… そして、路線バスのバス停。霧多布方面から釧路駅方面を結ぶバス路線の停留所が、国泰寺跡前に置かれている。今日はこのバスを利用して厚岸駅前の宿に戻ることにしましょう。次のバスの時刻を確認、時間を決めてこの周辺の観光を楽しみました。
国泰寺跡周辺。鳥居をくぐり、参道の段を登れば厚岸神社です
厚岸神社
厚岸町郷土館
厚岸町郷土館前。国泰寺跡の碑
観光を終えた私は、掲示されたバスのダイヤにあわせて、バスを待ちました。そして厚岸駅まで戻りたい私を乗せるべく、バスは着ました。掲示された時刻より2分30秒も早く。
本当は、路線バスは定刻より早くバスを出してはいけない。それは私も当然理解していますが、ここでは、そんなこと、そんな細けぇことはいいんだよ、と言いたくなりました。だってこの路線バス。霧多布から釧路駅方面までを結んでいるんですよ。どんだけ距離あるんですか。そんな2分30秒くらいでグダグダ言いません。こういう地域では、遅くとも10分前にはバス停に立つ。これが常識です。
そして定刻前にバス停を出たバスに乗車した私は無事、厚岸駅前まで帰りつきました。
今度は、国泰寺から奥、厚岸湾を作り出す半島の奥へと進んでいきます