～あとがき～

日高本線

― 浦河から様似、そして襟裳岬へ ―

【日高本線沿線での写真撮影】

今回の私の北海道の旅において、その前半、私はずっと日高本線を横目に見つづけました。中央競馬で活躍するサラブレッドの多くが、日高出身の現代。そして私は、海と 日高本線 と サラブレッド の写真を撮るべく、日高本線沿線を奔走していました。しかし、こんな贅沢な写真を撮るには、写真の腕はもちろん、あり余る時間と、幸運と、とあらゆる条件が揃う必要があります。ですから、こういう趣味は道楽そのものなのでしょう。今回、私も「道楽」に耽ってみましたが、まともな写真は1枚として撮れませんでした。

「あぁ、雲がかかってきちゃった。さっき日高本線が来てればよかったのに…」
「お、日高本線が来た。こら、お馬さん、逃げるな！」

てなことの連続。
万事こんな調子で終わってしまい、撮影結果は「全敗」、まともな写真ゼロ、となりました。しかし、失敗のプロセスを敢えて踏んでみるのも、意外に楽しいものです。

「廃線跡を追う」ことを続けていると、「もうダメだ」とわかっていても敢えてその流れに逆らわず、流れにのって「失敗への道」を受け入れることにも抵抗がなくなってきます。そうですね。廃線跡を追い始めてから、私は、物の考え方、そして実際の行動とあらゆるものが随分と変わったような気がします。
日高本線沿線で海と日高本線とサラブレッドを追いながら、ふとそんな現在の自身を見つめる私がいることに気がつきました…

そして私は、浦河駅から様似駅、そしてその先、鉄道のつながっていない襟裳岬へと向かったのでした。

夕暮れの浦河駅

様似駅前(襟裳岬への玄関口)

完

【参考資料】
・鉄道廃線跡を歩くI～VII：宮脇俊三編著(JTB出版)
・釧路湿原：杉沢拓男著(北海道新聞社)
・その他、北海道内各市町村発行観光パンフレット

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